アンジェラという物語(レシ)

categoryフィクション — S.S a.k.a fukigen @ 2010/10/1 0:17

angela
 novelist.jpにアンジェラという物語を投稿しました。私の書くもののなかでは話者が前面に顕れているので、小説ではなくて物語としておきます。他の小説を書きながら弄っていたものですが、いまは思いの外まとまりをもったものにできたような気がします。筆ならしのようなつもりで書いたので、web作品にしておきます。これと以前に書いた『ベントナイトセフィラー』という中編をこのサイトに投稿してみるつもりです。いまのところだけど。
 ※追記。作品をflashで縦書きに、しかもページ捲りのエフェクトつきで掲載して下さるjyunbun様に掲載して頂きました。ペラペラ読めます。2010/10/29


少女(アナモルフォーシス)

categoryフィクション — S.S a.k.a fukigen @ 2010/4/4 21:32

20100404
 忘れられた古いクレーターに湛えられる淡水の鏡面に、都市の町並みが映っている。風がながれ、さざなみがたつとその像は揺らいでしまうけれど、逆さまになった町並みはやがて、必ずやそこに再生される。水面に、映っている方の都市だけに、わたしと少女の生活がある。鏡面が揺らぐたび、細部は描き変えられてしまうのだけれど、わたしと少女の生活だけは、いつまでもそこで続いてゆく。 (more…)


五月の野営(ヘミングウェイ・トリビュート)

categoryフィクション — S.S a.k.a fukigen @ 2009/10/31 22:59

091031
 ケイタが水面を眺めていると、すれすれを舐める一帯の風がおしよせて、黄土の土手を駆け上がり、かれの前腕を撫ぜて後ろへいった。水面は風との接触部だけが光沢を失った。そのままの速度でかれの前腕に鳥肌がはしったものだから、ケイタはデニムの腰を払いながら立ち上がり、風がこの水面と自分とを分け隔てなく撫ぜていったのだな、というようなことを、およそこのような言葉にせず感じていた。自然のなかで耳を澄ましていると、自分をすっかり消し去ってしまえる、そんな瞬間があるのだった。それこそが本当の生であると、思えることもあるのだった。

 約20000字。長いので例によって続きはウェブへ。

※見出しの画像はヘミングウェイのブックカバーをもとにしているだけなので、当小説とはなんら関係をもちません。


デビルズ・ワルツ

categoryフィクション — S.S a.k.a fukigen @ 2008/11/30 16:09

 天井の高い薄暗い洋室で、窓辺から遠くはなれた、木椅子に背もたれて眠っていた。片方の腕はすぐとなりにある円卓の縁にのせてあるようだった。そちらへと垂らした空疎な頭蓋は鈍く、また重く、私はちぎれてしまいそうなまでの首筋の痛みに耐えきれずに、そこで惜しまれる眠りの覆いを潜り抜けたのだった。目を見ひらくと円卓の上には、ガラス製の黒い灰皿が置いてあり、重力を反転させたエンジェルフォールさながらに細長い煙が、そこから虚空という奈落へむけて落ちていた。私は二度ほどまばたいた。背もたれを離れ咳払いをすると、それだけでジグザグになったシガレットの煙が、ゆっくりとそこで解けていった。

   約19000字の短編小説です。長いしR18にしたので、本宅に掲載。

アベルの族よ、眠れ、飲め且つ、食え、
神、にこやかに、そなたを見給う。

カインの族よ、泥の中這いまわり
さては惨めに死んでゆけ。
                          ──ボードレール

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